自閉症スペクトラム(ASD)ってなに??





よくみられる発達障害のひとつで、対人関係が苦手であったり、強いこだわりがあるなどの特徴を持っています。





その頻度は高く、子どもの約20人に1人とも言われており、女性より男性に多く見られます。





対人関係やこだわりの特性があることで生活に支障をきたし、サポートが必要になる場合があります。





自閉症スペクトラムの原因は?





生まれつきの脳機能によるものだと考えられていますが、くわしい原因は未だ不明です。





多くの研究などから育て方やしつけの方法などが原因ではないことがわかっています。





自閉症スペクトラムの特性





「対人関係」と「こだわり」の特性を持ちますが、それぞれの特性の強さや現れ方は人それぞれ。





成長によって特性が変化することもありますが、先天的なものですのでこれらの特性を完全になくすことは出来ません。





対人関係が苦手





人に対する関心が弱く、相手の気持ちなどというあいまいなものを理解しづらい特性を持ちます。





あやしても目が合わない・反応がない、ひとみしりや後追いしない、言葉が遅れるなどといったことから、乳幼児健診で指摘され発覚するケースもあります。





また、「空気を読む」ということも苦手。





臨機応変な対人関係を築くことが出来ず、事実や理屈に基づいた行動を好みます。





特性のあらわれ方





・親と目が合わない、反応が乏しい





・ひとみしり、後追いがない





・言葉の遅れ





・受け身すぎて孤立する





・他者に一方的に近づきすぎてひかれる。ひかれても気付かない





・自分の好きなことばかりを一方的に話し続ける





:親密な友人が出来ない





強いこだわり





幼少期から特定の「強いこだわり」を示し、自分のやり方やルール・ペースを最優先にしたいという志向が強くみられます。





一部分への興味・関心がとても強い一方で、そうでない領域にはあまり興味をしめさないことが知られています。





特性のあらわれ方





・同じ行動を延々と繰り返す





・何かをするときの手順・方法・ものの並べ方につよくこだわりを持ち、いつも通りでないと気が済まない。





・状況の変化に柔軟に対応できない





・電車、昆虫、数字、恐竜、記号、地図など、特定のものに強く興味・関心を持つが、興味の範囲が狭い





・興味のないことにはほとんど手をつけない





・思い通りにならないとパニックを起こし、他者とトラブルを起こす





・インターネット、ゲーム、アニメなどに過剰に没頭する





その他の特性(全員にみられるわけではありません)





感覚のかたより





周囲が気にしないような音に過剰に反応したり、外出時にとてもまぶしく感じたり、服のタグがチクチクして耐えられないほど不快に感じたりすることがあります。





また逆に、感覚がにぶくて寒い日に薄着をしても気にならないことがあります。





運動が苦手





身体の動かし方が不器用で運動が苦手な場合があります。





特性に合わせたサポートをしよう





自閉症スペクトラムの人は、その特性から、生活上の問題が生じることがあります。





保護者や教師から強く叱られ続ける・仲間外れになる・いじめにあう・学校の勉強についていけなくなるなど、





自閉症スペクトラムの特性のために、生活の中で挫折や失敗体験などを経験するリスクが高くなります。





挫折や失敗などは本人の自己肯定感を減退させ、身体症状(腹痛、食欲不振、チックなど)や精神症状(うつ、不安、興奮など)を生じ、不登校や引きこもり、暴力、自傷行為などの二次的な問題に発展する可能性があります。





一方で、高い記憶力や好きなことへのこだわりといった特性を生かし、仕事や趣味で能力を発揮して結果を残している人が多くいるのも事実です。





引き起こされがちな問題を最小限にとどめながら、得意なことを伸ばしていくサポートをすることが大切です。





実は、アインシュタイン、スティーブン・スティルバーグ、スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツといった、名だたる天才たちが自閉症スペクトラムだと言われています。





近年話題のグレタ・トゥーンべりさんも自閉症スペクトラムの一人。





グレタさんは自閉症スペクトラムの中の、言語的・知的な遅れがない「アスペルガー」と診断されています。





そして彼女は「アスペルガーは病気ではなく、1つの才能。アスペルガーでなかったら、こうして立ち上がることはなかったでしょう」 と話します。





「発達障害」だと悲観的に受け止めるのではなく「個性」としてとらえ、プラスに生かしていければ、とてつもない才能を開花させることが出来る可能性を秘めているのです。





出来るだけ早い支援が子どもの才能を伸ばすカギ





自閉症スペクトラムのお子さんは、その特性から過剰なストレスや失敗、挫折を経験しやすい傾向にあります。





それらが引き金となって、身体症状や精神症状、ひきこもりや暴言・暴力などの二次的な問題が起きると、周囲から理解を得ることがますます困難となり、一層ストレスが増すという悪循環に陥ってしまうことも考えられます。





子どもの特性に気付いたら、出来るだけ早く理解・サポートをすることが大切。





適切なサポートをすれば、二次的な問題は予防・軽減・解決することが出来ます。





素早いサポートこそが、特性ををプラスに変えて才能を伸ばすカギなのです。





素早く適切なサポートを受けられるよう、気になる症状が現れた場合には速やかに医療機関を受診するなどの対応をしましょう。





まずは受診・相談





小児科や、児童精神科を受診するか、地域の療育センター、発達障碍者支援センターでも相談することが出来ます。





医療機関によっては、発達障害の専門外来を設けていることもあります。





他の疾患・障害が併存している場合もあります





自閉症スペクトラムに併存しやすいと言われている疾患・障害は、注意欠如・多動症、限局性学習症・発達性協調運動症です。









他にも睡眠障害(寝つきが悪い等)やてんかんが併存する場合もあります。





人によってはパニック障害を生じやすいことも。





睡眠障害・てんかん・多動性・衝動性・自傷行為・攻撃性などによって著しく生活に支障をきたしている場合には薬物治療が検討される場合があります。





自閉症スペクトラムの治療の基本は「療育」





療育(治療教育)とは、 個々の発達の状態や障害特性に応じて、今の困りごとの解決と、将来の自立と社会参加を目指し支援をすることです。





一人ひとりに合わせた療育プログラムにより、本人の力を引き出して出来ることを増やし、生活上の困難を減らす助けになります。





療育によって適切な支援を受け、同時にまわりの人々が本人の特性に合わせてサポートできるようになると、子どもは生活上の支障を感じづらくなり、自己肯定感も向上するので二次的な問題が生じにくくなります。





療育を受けても特性は変わらない





療育を受けることで、本人の行動が変わったり、気になっていたことが目立たなくなることはありますが、自閉症スペクトラムの特性が全く無くなるわけではありません。





特性を持ちつつも、社会に適応して充実した生活を送れるよういなることが目的となります。





まとめ





自閉症スペクトラムは20人に1人か、それ以上とも言われており、多くの人がその特性を持ちながらも、社会に適応して人生を謳歌しております。









数々の天才をうみ、人類史に大きく貢献した人物を数多く輩出している自閉症スペクトラム。





発達障害だと悲観的にならず、個性、いや、むしろ才能や長所だと受け止め、プラスの方向に伸ばしていきましょう。





現在、発達障害をサポートする制度は多様化しており、さまざまな支援を受けられるようになっているため、それらをうまく活用してみると良いと思います。