不妊治療というのは多大なストレスを伴います。


ただでさえストレスフルな日々。


それなのに、周りは平気な顔して


「子どもはまだなの?」「お子さんはいらっしゃるの?」「子どもは何人?」「子どもは若いうちに産んだ方が良いよ~」


って言ってきますよね。


悪気が無いのは分かる。ただの世間話的な感じで言っているんだろう。


だけど。それを理解した上で思う。


 


「ほっといてくれ!!!!まじで!!」


 


そんな日々を送る中、私は不妊・不妊治療をカミングアウトする道を選びました。


 


今日は不妊治療をカミングアウトすることのメリット・デメリットを考えます。


 




メリット





愚痴を言える




不妊治療中は誰だってストレスを感じます。


将来への不安、憤り、焦燥感、虚無感、不満。


愚痴を言わなきゃやってられません。


特に、妊娠・出産報告を聞いたときの落ち込みよう。おめでたいことなのに素直に「おめでとう」が言えないため、自分を責めることもあるでしょう。


そんな気持ちを自分の中だけにとどめておくこと自体がストレスです。不妊治療中にストレスは大敵!!


思いっきり愚痴って発散出来る相手がいるのといないのとでは、大きく違います。


 




余計な事を聞かれなくなる




なぜ人と言うのは、どうでもいいじゃん。ってことを聞いてくるんでしょうね。


「子どもは?」


って、私に子どもがいようがいまいが、あなたに関係あります!?!?


みたいな。私がひねくれているんでしょうか。


 


でも、不妊治療中にこの質問、地味に応えますよねぇ。


 


そんな時は、「欲しいんですけど、なかなか出来なくて…」と答えていました。


大抵の人はこれ以上突っ込んできません。


そして、二度とこの質問はしてこなくなります。


 


お節介すぎる人は、「病院は行ってるの?」とか聞いてきますが、「今治療中です~。」って適当に流しておけばOK。


根掘り葉掘り聞かれたら、(そんな人はそういないと思いますが…)


「これ以上は話したくありません」ATフィールド全開にすればよいのです。変な空気になったとしても、あなたは悪くない!!センシティブなことを聞いてくる方が悪いのです!!!!


 




思わぬ所で仲間が見つかる




友人の結婚式、その話題は大体、独身者の恋愛事情か、既婚者の家庭事情。


結果、「子どもは?」って話になります。


その話題になったら私は迷わず、「なかなか出来なくて~病院で治療中!」と答えていました。


すると、あれまぁ不思議。


意外と知らないところに不妊治療中の人はいるものです。


「実は私もなの…」「私も不妊治療して授かったんだよ~(妊娠中)」っていう人がゴロゴロと現れました。


世の中、不妊治療をしてる人はもはやマイノリティではありません。その辺のたくさんいます。


同じ境遇にいる人や、同じ悩みを乗り越えた人たちの話を聞くのは、勇気と希望になります。


自分の状況を隠さず話すことにより、私も救われたし、相手も救われたと思います。


 




職場の協力が得られる




私は不妊治療中、医療専門職として勤務していました。


不妊治療はどうしても受診が頻回で、状況によっては急遽休みや時間休を取って受診しなくてはなりません。


なので、上司・同僚の協力は必須。


上司にだけ報告・相談している方もいらっしゃるかと思いますが、結局自分が仕事を休むことのしわ寄せは同僚たちに行きます。


なので、同僚たちの理解・協力を得ることは必須だと思います。


そのためには、隠し事はご法度。包み隠さず全て話しました。


幸い私の職場では皆治療を応援してくれて、


「しっかり病院行っておいで!!」「仕事は何とでもなる!」「私も子どもの風邪でしょっちゅう休むから、お互い様!!」


と背中を押してくれました。現状を包み隠さず話すことで、周りも協力しようという気持ちになりますし、自分も周りから応援してもらい、勇気をもらいました。


 




授かった時、めちゃくちゃ祝われる




妊娠・出産は、総じて全て素晴らしいことで、喜ばしく、祝われるべきことだと思いますが、


ぶっちゃけ、「出来ちゃいました~」っていうのと、「欲しくて欲しくて治療してやっと授かりました!」っていうのては、祝われ方が全然違う。


カミングアウトすることにより、愚痴を聞いてもらったり、辛い状況を乗り越えたこと知っている相手は、めちゃくちゃ喜んでくれます。心から祝福しまくってくれます。


そして、たくさんの人に祝福してもらいながら産まれてくる新しい命は、幸せ者だと思います。


また、職場では妊娠中の体調不良を気遣ってくれたり、苦労して授かった命なのに妊娠中に何かあってはいけないと、配慮をしてもらえるということもあると思います。


 








デメリット





ある程度噂が広まる




人と言うのはどうでもいい噂話が大好きですよねぇ。


不妊・不妊治療なんていうのは、噂好きの人は大好物でしょう。


「あの人、不妊治療してるらしいよ。」「可愛そう」なんていう噂が一切ないなんていうことはあり得ません。もしカミングアウトするのであれば、ある程度噂される覚悟を持ってした方が良いでしょう。


しかし、カミングアウトしようとしまいと、「あの人子どもいないけど、作らない方針なのかなぁ」程度の事は言われている可能性が大きいので、噂話の内容が変わるだけ、とも言えます。


どっちにしろ余計なお世話なので、噂なんて気にしないに越したことはありません。


 




可哀そうな目で見られる




カミングアウトすることで


「あの人子ども作らない方針なのかな?」から、「子ども欲しいけど出来ないんだ」に変わるので、どうしたって同情の目で見られます。


「大変だね」「つらいね」という目で見られることが大変でつらいわ。的な状況です。


そんな時の対応ですが…私は、自虐ネタみたいにしてました。「大変だねぇ」と言われたら、「ほんっとに大変なんだよ!もう~聞いて!?」と言って、ひとしきり明るく愚痴る。もう半分ネタみたいにしてました。


だってそうじゃん。不妊治療って、大変だしツライ事もたくさんあるけれど、だからといって、「不幸」じゃない。


私たちは、子どもが出来づらいかもしれないけれど、それがイコール不幸ではないんだから!!!(二度言った)


不妊治療=不幸 だっていう目で見られるのは嫌だったので、明るく笑い飛ばせるときは笑い飛ばしてました。(そう出来ない時も多々あったけど)


 


私が個人的に一番つらかったのは、職場の会議で、同僚の妊娠報告を受けたとき。


「あ…あの人の方が先に妊活してたのに…先越された。可愛そう。」みたいな目で見られている!!!(という被害妄想かもしれないけれど)


先越された事もツライけど、それ以上に「あの人、可愛そう~」的な目!!目!!目!!!!


会議終わった後、「大丈夫?」とか聞かないで~~逆に辛いから―――!!!!


ってことはありますよね。もう、気にしないようにするしかないのですが。


 




必要以上に気を使われる




不妊というものが広く知られるようになった昨今、不妊治療中の精神的苦痛も広く知られるようになりました。


よって、必要以上に気を使われます。


年賀状に子どもの写真載せたら傷つけちゃうかな?と気を使われ、今まで子どもの写真だった人からの年賀状がイラストだけの年賀状になったり。


友達が妊娠した時、他の友人たちは本人から妊娠報告を受けていたけど、私だけは報告されていなかったり。


相手はそのつもりがなくても、こちらとしては「あ~、可愛そうだって思われてるんだ…」とちょっと落ち込みます。


 


かといって気を使ってもらって良い事もあるので、(子どもについて聞かれない&その話題になった時フォローしてもらえる等)結局こちらの心の持ちようなんだろうな~と今となっては思います。


 




さいごに…




私は不妊治療をカミングアウトする方を選びました。


もともと私は、自分の弱みを見せる事に抵抗が全く無く、弱みを見せた方がその後の人間関係が良好になる気がするので、独身の時から自虐的な事は多々言うキャラでした。


でも、不妊・不妊治療のことは、私だけでなく夫にも関わることなので、最初は誰にも言いませんでした。


でも、だんだんとそれがストレスになってきて…結局カミングアウトする決断をしました。


しかも見境なく、「子どもは?」と聞かれれば、誰にでも言いました。


だって、不妊も不妊治療もぜーんぜん恥ずかしいことじゃないし、珍しいことでもない。


「不妊治療中なんだよね~」と言いいまくった私の経験から言えば、8割がた「私も治療してる~」「私の友人も治療してる~」「私の姉も治療してた~」っていう回答でした。みんな、自分の周りの誰かしらは不妊治療経験者。その多さに私もびっくりした程です。


不妊治療中の仲間が何人も出来て、頑張っているのは私一人じゃない。心が軽くなったし、前向きになれました。


 


しかし、人は十人十色。それぞれ性格も違うし、生活環境も違うので、メリット・デメリットがどの程度大きく出るのかは、人それぞれ違うと思います。


私がカミングアウトして良かったと思えるけれど、もしかしたらカミングアウトすることのデメリットの方が大きい場合もあるかもしれません。


それをよく考えた上で、カミングアウトするのかしないのか、決めていただければと思います。


 


そして最後に。


この記事を読んでいる方は皆、赤ちゃんが欲しいけどなかなか出来ない…という悩みを抱えている方だと思います。


どうか、皆さんの元に幸せが訪れますように。心から願っております。